「今すぐ客を狙え」は、本当に正しいのか。

SNS集客について学んでいると、「今すぐ客を狙いましょう」という話をよく聞きます。
すでに悩んでいる人。解決策を探している人。
商品が欲しい人。そういう人を狙った方が売れやすい。
これはまあ、そうなんです。
「LINE構築をお願いしたいです」という人が目の前にいるのに、「ではまずLINE構築の必要性について7日間教育しますね」とかやる必要はない。
いや、もう欲しいって言ってるやん。です。
なので、今すぐ客を狙うこと自体が間違っているとは僕も思いません。
ただ。競合が増えた今のSNSを見ていると、
僕はずっと一つ引っかかっていることがあります。
今すぐ客は「〇〇が欲しい!」となっている人
そもそも今すぐ客とは何なのか。かなり簡単に言えば、
「〇〇が欲しい!」となっている人です。
「SNSコンサルを受けたい」「LINE構築を頼みたい」「ダイエットの講座を探している」「税理士を探している」
もうある程度、欲しいもののカテゴリーまで決まっている。
だから自分で探します。Instagramを見る。
Googleで検索する。プロフィールを見る。
LPを見る。料金を見る。実績を見る。口コミを見る。
そして、他社と比較して選ぶ。これが今すぐ客です。
ここで一つ考えてみてほしいんです。
よくAIDMAとかAISASとか、
消費者は、認知して、興味を持って、検索して、
比較して、購入する、みたいな話があります。
もちろん行動モデルとしては分かりやすい。
ただ、今すぐ客に限って見ると、この工程ってかなり圧縮されていると思うんです。
例えば、「SNSコンサルを探している人」が僕を見つけたとします。
僕を認知する。「へえ、この人SNSコンサルやってるんだ」と思う。
プロフィールを見る。投稿を見る。実績を見る。そして別の人のアカウントも見る。
たぶんこれ、認知→興味→比較が数日単位で進むとは限らないんですよね。
下手したら5分です。
むしろ、興味を持ちながら比較している。くらいの感覚の方が近い。
今すぐ客は、問題を認知するところから始まっているわけではありません。
すでに問題も知っている。解決したいことも知っている。
場合によっては、解決方法まで知っている。
その状態で、「誰から買うか」を探している。
つまり、今すぐ客を狙うということは、
言い方を変えると、すでに比較フェーズに入っている人を狙うということでもあるんです。
比較フェーズから参戦すると、強い人が強い
ここからが、レッドオーシャンでは結構大事な話です。
例えば、SNSコンサルを探している人がいたとします。
そこに二人のコンサルタントが出てきた。
一人は、フォロワー5万人。書籍出版。
サポート実績500名。お客様の声が大量にある。
もう一人は、フォロワー800人。ちゃんと勉強している。
実務経験もある。サポート内容も悪くない。でも知名度はそこまでない。
さて。初めて二人を見た人が、30分以内にどちらかを選ぶとしたら、
どちらが有利でしょう。
もちろん絶対ではありません。
でも、フォロワー数、実績数、レビュー、肩書き、知名度、出版、メディア掲載、
こうした、一瞬で分かる信用材料を持っている人の方が強い。
行動経済学ではこの″信頼”を「構造的信頼」と呼んでいます。
まだその人の人柄も、仕事の丁寧さも、本当の実力もよく分からない。
だから人は、今見える材料で判断する。
まあ、そりゃそうですよね。
初対面の知らない二人が並んでいて、片方に、
「実績500件」もう片方に、「心を込めて頑張ります」と書いてあったら、
心を込められても困るわけです。
だから、比較が始まってから戦うほど、
構造的な信頼をたくさん持っている人が有利になります。
そして、競合が増えれば増えるほど、この傾向は強くなる。
社会規範と市場規範——そもそもSNSって「買い物をする場所」でしたっけ?
ここでもう一つ。僕は講座でも、社会規範と市場規範という話をしています。
ものすごく簡単に説明すると、市場規範は、
「お金を払って何かを得る」という関係。
一方で社会規範は、交流だったり、好意だったり、
共有だったり、人間関係だったり、必ずしもお金を前提としない世界です。
そしてSNSって、基本的には、社会規範から始まる場所だと思うんです。
Instagramを開くときに、「今日はコンサルを30万円分買おう」と思ってアプリを開く人って、
そんなにいないですよね。
友達の投稿を見る。好きな人を見る。暇つぶしする。
情報を見る。リールを見る。猫を見る。
そして気づいたら40分経っている。これがSNSです。
Amazonとは違います。
Amazonなら、かなり市場規範寄りです。
何か欲しい。探す。比較する。買う。
でもSNSは、最初から全員が、「何か買おう」と思っているわけではありません。
なのに、SNSにいる人を全部、「見込み客」として見ると、
結構おかしなことになるんです。
僕はSNSにいる人を、大きく4つに分けて考えています
これは学術的に、「世界中のSNSユーザーを調査したら絶対この数字になります」という話ではありません。
僕が実務上、SNS集客を考えるときに使っているモデルです。
ざっくり、40%・30%・20%・10%。
40%|ずっと社会規範の人
まず40%。SNSは無料で見るところ。
楽しむところ。交流するところ。情報をもらうところ。
基本的に、SNSで見つけた人にお金を払うという発想がかなり薄い。
どれだけ投稿を読んでも、「勉強になりました!」で終わる。
「保存しました!」で終わる。
いや保存したあと見てるかどうかは知らんけど。
この層は、無理に市場規範へ引っ張らなくていいと思っています。
30%|必要性が高くなればお金を払う人
次に30%。普段は社会規範寄り。普通にSNSを楽しんでいる。
でも、本当に困った。自分では解決できない。
時間をかけるより頼んだ方がいい。ちゃんと学びたい。となれば、お金を払う可能性がある。
つまり、必要性によって市場規範へ移る人。
20%|もともと少し「買う目」も持っている人
次が20%。SNSを普通に楽しみながらも、
「何かいい情報ないかな」「いい講座あったら受けたいな」「このサービス気になるな」という目でも見ている。
30%より、かなり市場規範に近い。
ただ、まだ、「今SNSコンサルが欲しい!」とはなっていない。
良いものがあったら考える。必要になったら買う。そんな層です。
10%|いわゆる今すぐ客
そして最後が10%。もう市場規範を受け入れている。
さらに、具体的に欲しいものも決まっている。
「コンサルを受けたい」「LINEを構築したい」「講座を探している」
だから、自分で探す。比較する。選ぶ。
これが、俗にいう今すぐ客です。
「今すぐ客を狙え」は、10%の争奪戦でもある
ここまで分けると、「今すぐ客を狙いましょう」という言葉が、
ちょっと違って見えてきます。
要するに、この10%を狙おうという話なんですよね。
確かに売れやすい。
でも、この10%、僕だけが欲しいわけじゃないんです。
競合も欲しい。SNSコンサルAさんも欲しい。
マーケターBさんも欲しい。スクールC社も欲しい。
広告を出しているD社も欲しい。
全員で、「SNSコンサルを探しています!」という人を待っている。
ここを忘れちゃいけないと思うんです。
特にレッドオーシャンでは。
じゃあ、残りの20%・30%は何をしているのか
ここが僕はかなり大事だと思っています。
20%・30%の人は、まだ、「〇〇が欲しい!」とはなっていません。
でも、投稿を見ます。コラムを読みます。
ストーリーズを見ます。たまに絡みます。
DMで質問することもある。
そうやって、何度も接触しているうちに、ある日、「あれ?」となる。
例えば、今まで、「投稿しても最近反応悪いな」くらいに思っていた人がいたとします。
そこに、「投稿数を増やす前に、そもそも誰に何を届けるか決まっていますか?」という投稿が流れてきた。
「ん?」となる。
また別の日。コラムを読む。
「売れない原因が商品ではなく、その商品に辿り着く導線にあることもあります」
「あれ、僕これかも」となる。
今まで、ただの、「なんとなくうまくいっていない」だったものが、
「もしかして自分の集客設計に問題があるのでは?」に変わる。
これが、問題への気づきです。
問題に気づくと、今度は解決策が気になります。
「導線ってちゃんと作った方がいいのかな」「一回誰かに見てもらった方がいいのかな」「こういうサポートってあるんだ」
少しずつ、必要性が高まる。そして、20%。10%。へ近づいていく。
僕のところに来る人も、最初から今すぐ客だった人は案外少ない
僕自身、相談に来てくださる方や、サポートを依頼してくださる方を見ていて、
ここはかなり実感しています。
最初から、「とーるさんのコンサルを受けよう!」と思って僕を探してきた人って、
実はそんなに多くありません。
投稿で僕を知った。コラムを読んだ。
誰かから僕のことを聞いた。何度か投稿を見た。
その中で、「あ、これ自分のことかも」と刺さる。
今まで問題だと思っていなかったところに気づく。必要性を感じる。
僕がどういう考え方で仕事をしているのかも知る。
そして、「一回相談してみようかな」となる。
ここで考えてみてほしいんです。この方たちは、
最初から今すぐ客だったでしょうか。
違いますよね。
最初から、「誰かにコンサルをお願いしよう」と思っていたわけではない。
SNS上で接点を持つ中で、問題を認識した。必要性を知った。
解決策を知った。
結果として、今すぐ客になった。そういう人です。
今すぐ客を「集める」のか、今すぐ客に「なる」のか
ここは似ているようで、結構違います。
今すぐ客を集めるというのは、すでに「欲しい」と思っている人を見つける戦略。
対して20%・30%に接触するのは、
まだ「欲しい」と思っていない人が、必要性に気づいていく過程にいる戦略。
僕は後者を、「無理やり教育して今すぐ客にする」とは考えていません。
そんな、ポケモンみたいに、30%を捕まえて、
レベルを上げて、10%に進化させる話じゃない。
人にはタイミングがあります。
今はお金がない。今は時間がない。まだ自分でやりたい。
家庭の事情がある。仕事が忙しい。
それでいいんです。
これが大事なんだと思っています。
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とーる|猫好きの行動経済アナリスト





