コラム#121マーケティング

値上げをお客様にどう伝えるか。|公正性の知覚と、伝える順番

値上げをお客様にどう伝えるか。|公正性の知覚と、伝える順番

どーも!とーるです!

「値上げしたいんですけど、今のお客様になんて言えばいいか分からなくて……」

これ、よく相談されます。

金額は決まっている。理由もある。でも、文面が書けない。

書いては消し、書いては消し。

値上げのお知らせって、下書きの中でいちばん長生きしてるファイルだったりしますよね。

でもこれ、文章力の問題じゃないんです。

以前、#77で「払った価値がありました!」
はまだ値上げのサインじゃない、という話を書きました。

今回はその先、値上げすると決めたあとの話です。

公正性の知覚——揉めるのは、金額じゃなくて「納得」

行動経済学に、公正性の知覚という考え方があります。

人は、値上げを「金額が上がったかどうか」ではなく、

「それはフェアかどうか」

で判断する、というものです。

これ、面白いパターンがあって。

受け入れられやすい理由

  • コストが上がった
  • 提供内容が増えた

不公正と受け取られやすい理由

  • 人気が出てきたから
  • 予約が埋まるようになったから

同じ金額の値上げでも、理由が違うだけで反応が変わります。

前者は「仕方ない」。
後者は「足元を見られた」。

売れているから上げる、って経済的にはすごく自然なことなんですけどね。

でも人は、取引を経済合理性だけで見ていないんです。

「この人は、こっちの足元を見てないか」

ここを見ている。

だから「売れてるので上げます」は、事実でも口に出すと損をするかもしれません。

伝える順番は、4つです

僕なら、この順番で組みます。

① 先に伝える

値上げ後に知られるのが、いちばんまずいです。

金額よりも、「黙ってたの?」のほうが残りますから。

最低でも1ヶ月前。
継続サービスなら、もっと前。

② 理由を先に、金額をあとに

つい金額から書きたくなるんですけど、逆なんです。

金額を先に見ると、そこで判断が終わります。

そのあとに何を説明しても、全部言い訳に見える。

③ 今のお客様をどうするかを、明確に書く

ここが一番大事かもしれません。

  • 既存の方はいつまで据え置きなのか
  • 継続中の方はどうなるのか
  • 値上げ前に申し込める期間があるのか

書いてないと、全員が自分で心配します。

そして人は、分からないときは悪いほうに想像するんですよね。

④ 謝らない

これ、意外と大事です。

「このたびは申し訳ございませんが……」

と始めると、値上げが「悪いこと」になります。

悪いことをする人からは、買いづらいですよね。

感謝は伝える。でも、謝らない。

順番を入れ替えるだけで、変わります

骨組みだけ並べてみますね。

いつもありがとうございます。

(理由) 今回、サポートの内容を○○まで広げることにしました。

(時期) それに伴って、1月から価格を改定します。

(金額) 新価格は○○円です。

(既存の扱い) いまご利用中の方は、6ヶ月間は現行価格のままです。

特別なことは何も書いていません。

でも読んだ側の頭の中では、

「内容が増える」→「だから上がる」→「自分はしばらく大丈夫」

と、順番に処理されていきます。

順番が逆だと、

「上がる」→「えっ」→(以降読まない)

になるんです。

SNSでも、同じことが起きています

サブスクの値上げ告知って、よく荒れますよね。

でも、荒れているものと、そうでないものがある。

差を見てみると、だいたいこの2つです。

  • 前に言ったか
  • 既存の利用者をどうするか書いてあったか

金額の大きさじゃないんですよね。

個人のサービスでも、規模が小さいだけで構造は同じです。

離れる人は、たぶん離れます

最後に、これだけは正直に書いておきます。

どんなに丁寧に伝えても、離れる人は離れます。

それは、伝え方が悪かったからじゃないです。

価格で選んでいた方は、価格で離れる。とても自然なことだと思います。

だから値上げって、

誰と続けるかを選ぶことでもある

んですよね。

そこを覚悟しておくと、文面が弱くならない。

弱い文面は、相手にも伝わります。
自信がなさそうに見える値上げは、余計に揉めるんです。

金額を上げるときに必要なのは、うまい言い回しじゃなくて、

この値段で提供すると決めたことを、そのまま伝えること

なのかもしれません。

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とーる|猫好きの行動経済アナリスト

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