コラム#94ビジネス

個別相談ZOOMでオファーする人へ。それ、特商法アウトかもしれません。

個別相談ZOOMでオファーする人へ。それ、特商法アウトかもしれません。

どーもとーるです!

まず、ひとつ最初にお伝えしておきたいことがあります。

僕は法律の専門家でも、行政書士などの資格を持っているわけでもありません。

ただ、この業界に携わり、人のビジネスをサポートする立場として、それなりに情報収集や勉強を続けている身ではあります。

今回書く内容も含め、「これが正しい」と鵜呑みにせず、気になる点はぜひご自身で専門家(弁護士・行政書士など)に相談したり、一次情報にあたって確認してください。

「運転の仕方だけ教えて、交通ルールは教えない」教室が、昨今のSNSビジネス界隈には多くあります。

このコラムは、その“交通ルール”側の話です。
(とはいえ、僕もすべてを網羅できているわけではありません)

少し、法律寄りの話をします。

「個別相談ZOOMで商品をオファーする」

SNSビジネス界隈で、これをやっている人は、かなり多いです。

でもこれが——

特定商取引法(特商法)上の「電話勧誘販売」にあたる可能性がある(要は違反)

ということを知っている人は、ほとんどいません。

今日はこれを、正直に書きます。

「セールスのプロが言ってるんだから大丈夫」は通用しない

SNSビジネス界隈を見ていると、こういうコンテンツが溢れています。

「個別相談から自然にオファーにつなげる方法」
「相談で悩みを深掘りしてクロージング」
「その場で決めてもらう流れ」

これを教えているのが、元トップ営業マン・元セールス講師という肩書きを持つ人たちです。

実績がある。フォロワーも多い。発信に説得力がある。

「この人が言ってるなら間違いない」という空気が生まれる。

でも、ここに大きな落とし穴があります。

彼らが“プロ”なのは、オフライン営業の世界での話

訪問販売、対面セールス、店舗での接客。
そこで磨いた技術を、そのままZoomに持ち込んでいる。

問題は、オフライン営業とZoomでのセールスは、法律上まったく別のカテゴリーだということです。

対面でのクロージング手法が合法だからといって、それをZoomでやれば合法になるわけではありません。

むしろ、そこには特商法上の、まったく別のルールが適用されます。

そして「知らなかった」は、免責になりません。

元トップ営業のプロが、Zoomの法律を熟知しているとは限りません。

むしろ、知らないまま教えているケースの方が、圧倒的に多い。

受け取った側は「実績あるプロが教えているから合法だろう」と信じて、そのまま実践する。

これが今、SNSビジネス界隈で広がっている、構造的な問題です。

知名度がある。実績がある。
でもそれは「法律的に正しい」とは、まったく別の話です。

なぜ“元セールスのプロ”ほどSNSで違法スキームを教えてしまうのか

これは「悪意がある」のではなく、「舞台が変わったことを理解していない」という話です。

① オフライン営業では「相談→自然にオファー」は“優秀な営業の基本”

訪問販売・対面営業の世界では、こういう流れが正解とされています。

  • 相談に乗る
  • 悩みを深掘りする
  • 自然に商品提案につなげる
  • その場で決めてもらう

これはトップ営業の常識です。

だから彼らは、悪気なくこう言う。
「個別相談から自然にオファーにつなげれば売れますよ」って。

でも、これをSNS・Zoomでやると、「アポイントメントセールス(勧誘目的隠し)」に該当します。

訪問販売でも電話勧誘販売でも、完全にアウトです。

② 舞台で「法律が変わる」ことを知らない

元プロたちの頭の中は、こうです。

対面営業で成功した → 相談から自然にオファーするのが正解 → だからSNSでも同じことを教える

でも現実は、こうです。

販売形態が変われば、法律も変わる。
SNS(Zoom)は、電話勧誘販売扱い。

オフライン営業の常識が、そのまま違法になる世界があるんです。

ここを理解していない。

「悪意がある」のではなく、「法律を知らない」「舞台が変わったことを理解していない」「オフラインの成功体験が強すぎる」——この組み合わせです。

③ 訪問販売でも、昔から同じ違反がある

訪問販売の行政処分で問題になってきた手口を、知っていますか?

  • 「点検です」→ 実はリフォーム勧誘
  • 「アンケートです」→ 実は布団販売
  • 「相談です」→ 実は教材販売

これ全部、「アポイントメントセールス」と呼ばれる違反パターンです。

「相談と言って実は売る」は、今に始まった話ではなく、昔から行政処分の温床でした。

特商法上、ZoomはどういうZoomになる?

特定商取引法には、販売形態ごとに適用されるルールがあります。

主な分類は、こうです。

  • 訪問販売(自宅や職場に来て売る)
  • 通信販売(ネット・チラシ・SNSなどで売る)
  • 電話勧誘販売(電話で勧誘して契約させる)

問題は、ここです。

ZoomやLINE電話での個別相談は、「電話勧誘販売」に該当する可能性が高い。

消費者庁の解釈では、電話・ビデオ通話・音声通話を使って勧誘し、契約に至った場合は「電話勧誘販売」として扱われます。

つまり、Zoomで「相談」と称して商品を案内し、その流れで申し込みを取る行為は、電話勧誘販売のルールに従う義務が生じます。

「Zoomだから対面と同じ」ではありません。
「Zoomだからネット販売と同じ」でもありません。

舞台が変われば、法律も変わるんです。

具体的に何がアウトなのか

行政処分の事例を見ると、最も問題視されるのは「不意打ちで商品を案内したかどうか」です。

つまり、「相談と見せかけて、突然オファーする」という構造が、アウトです。

「相談と見せかけて、実質セールス」
「お悩み相談」「無料コンサル」と案内しておきながら、実際にはセールスの場として設計している。勧誘目的を隠した扱いになります。

「その場で申込みリンクを送る」
Zoom中に「では今すぐこちらから」と申込みリンクを送る。相手が十分に検討する時間を与えないまま契約させる行為です。

「今日決めてください」という圧
「この値段は今日だけ」「今決めないと枠がなくなる」という限定性を使った、その場クロージング。電話勧誘販売では「威迫・困惑」に該当しうる行為です。

「悩みを深掘りしてクロージング」
相談の体裁を取りながら、不安を煽って契約に誘導する。オフライン営業では「信頼構築からのクロージング」と教えられていますが、電話勧誘販売では問題になりうる手法です。

これ全部、SNS界隈で「セールスの常識」として教えられている手法です。

電話勧誘販売は、もともと「超・消費者有利」寄りの法律です。

契約書を交わしていようが、扱う側が素人では、何の役にも立ちません。

「高額スクールに入ってしまった……、けど契約書を交わしたし……」と泣き寝入りする方もいますが、実際に電話勧誘販売の場合、大抵は消費者が勝つと言われています。

実際に、この違反で行政処分が出ています

SNSで集客 → Zoomで“相談” → その場でオファー。

この流れは、すでに複数の行政処分が出ています。

ただし公表名は 「電話勧誘販売業者に対する行政処分」 として扱われるため、表向きは「SNSビジネスの摘発」と見えにくいだけ。

でも、構造は完全に一致しています。

■ 事例①:SNSで「無料相談」→ Zoomで高額講座

  • Instagramで「無料相談」を募集
  • Zoomで“相談”と言いながら、実質は勧誘
  • その場で申込みリンクを送る
  • クーリングオフ不可と言われる

→ 電話勧誘販売の違反で、返金命令。

■ 事例②:「無料診断」「無料カウンセリング」→ 実は勧誘

  • SNSで無料診断を案内
  • Zoomで“診断”と言いながら、高額講座へ誘導

→ アポイントメントセールス(勧誘目的隠し)として違反認定。

■ 事例③:副業・コーチング系のZoom勧誘

  • SNSで集客
  • Zoomで、その場で契約を迫る

→ 電話勧誘販売扱いで、行政処分。

■ 事例④:「お茶しよ!」→ 実は勧誘

これは昔から、大量に行政処分が出ている典型例です。

名目:お茶・雑談
実態:勧誘

→ アポイントメントセールスとしてアウト。

SNSの「個別相談→実はオファー」と、構造が完全に同じです。

特商法上、具体的に何が違法なのか

ここからは、より具体的に、3つの問題点を整理します。

① 「目的隠匿勧誘」という、明らかな違法行為

特商法では、勧誘を始める前に「事業者名」と「有料の商品・サービスを販売する目的であること」を、消費者に告げなければなりません。

よくある実態は、こうです。

「無料相談」「お悩み個別面談」「限定セミナー」という名目で募集して、Zoomの後半になって突然「実は高額なコンサルがあって…」と切り出す。

これは明確な目的隠匿勧誘であり、特商法違反です。

「無料と言っていたのに売られた」という消費者トラブルの典型が、まさにこれです。

② 「Zoomでの個別勧誘」は、電話勧誘販売に該当する

「ネットやオンラインだから特商法の対象外」と主張する事業者がいますが、これは都合の良い勘違いです。

1対1のZoomやLINE通話を用いた勧誘は、実務上および最新の裁判例において、特商法の「電話勧誘販売」、もしくは営業所外の呼び出しとして「訪問販売(アポイントメントセールス)」に該当すると判断されています。

これに該当する場合、事業者は法律で定められた項目を記載した「契約書面」を交付しなければなりません(これが非常に厄介。※契約書ではありません)。

これを怠っている事業者がほとんどであり、その時点で行政処分の対象となりえます。

③ 「その場で即決」を狙う理由と、その問題点

彼らが「その場で即決(決済)」にこだわる理由があります。

「一度Zoomを切って冷静になられると、怪しさに気づいて解約されるから」です。

画面越しに「今だけの特別価格」「今日逃したら、もう募集しない」と心理的プレッシャーをかけ、考える時間を奪う行為は、特商法が禁止する「威迫・困惑勧誘」に抵触する恐れがあります。

特に、電話勧誘販売に該当する場合、たとえその場で即決・決済させたとしても、消費者は契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件でクーリングオフ(解約・返金)が可能です。

「その場で決めてもらえばキャンセルされない」という考え方は、法律上、成立しません。

本質は“名目の偽装”

行政処分で問題視されるのは「何をしたか」ではなく、「どういう名目で接触したか」です。

  • 相談と言って、実は勧誘
  • お茶と言って、実は勧誘
  • 点検と言って、実は勧誘
  • アンケートと言って、実は勧誘

これ全部、同じ違法構造です。

そして「SNSの個別相談→自然にオファー」は、「“お茶しよ!”→実は勧誘」と、構造上まったく同じです。

名目:相談
実態:勧誘

これがアポイントメントセールスの典型であり、SNSビジネス界隈で今まさに広がっている問題です。

安全にするための5つのポイント

では、どうすれば適法に「個別相談+オファー」ができるのか。

ここで一つ、思い出してみてほしいことがあります。

保険会社・不動産・金融商品など、ある程度規模の大きい会社のZoom相談や説明会に参加したことがある方なら、「あ、たしかにそういう流れだった!」と感じる部分があるはずです。

「本日は〇〇のご相談ということで承っております。後半で、商品のご案内もさせていただく場合がございます」
「ここからご提案の内容に入りますが、よろしいでしょうか?」

大手企業はコンプライアンス部門が法律を徹底的にチェックしているため、正しい手順を当たり前のように踏んでいます。

「なんかこの会社、丁寧だな」と感じていたあの流れは、法律上の義務を守った結果です。

個人のSNSビジネスも、この“大企業が当たり前にやっていること”を参考にすれば、十分です。

① 相談受付の前に明記する
申込みフォームや案内文に「相談内容によっては、商品の案内をする場合があります」と書いておく。「勧誘目的を隠した」という扱いを避けられます。

② Zoom中に一度、区切る
「ここから商品の案内をしたいのですが、聞きますか?」と、明確に了承を取る。「相談→勧誘」の切り替えをはっきり示すことで、不意打ちの扱いを防げます。

③ 相談の目的を、最初に明確化する
Zoom開始時に「今日は〇〇の相談が目的で、案内は希望があればお伝えします」と口頭で伝える。録画しておくと、さらに安全です。

④ その場で申込みを取らない
申込みはDM・フォーム・後日にすることで、「通信販売」扱いに近づけられます。相手が持ち帰って検討できる構造にするだけで、トラブルの可能性は大きく下がります。

⑤ 価格・条件を曖昧にしない
価格・契約期間・返金条件・解約方法を隠すと「重要事項不告知」で違反になります。「詳しくはDMで」「入ってから説明します」は、アウトです。

クーリングオフは逃げられない

最後に、これだけは必ず知っておいてほしいことがあります。

電話勧誘販売(Zoom含む)においては、クーリングオフが8日間、必ず適用されます。

「うちのサービスはクーリングオフできません」
「デジタルコンテンツは対象外です」
「説明し忘れました」

これらはすべて、違反です。

なかでも「クーリングオフできない」と嘘をつくことは、一発退場レベルの重い違反です。

知らなかったでは、済みません。
説明しなかったことも、違反です。
嘘をついたら、より重い違反です。

そしてクーリングオフの適用期間は「正しい説明がなされた日」から始まります。

説明を怠ると、期間がいつまでも始まらないという、逆効果にもなります。

注意喚起:「即決させる方法」を得意げに語るな

Threadsなどで「即決させる方法」「その場でクロージングする技術」を得意げに発信している人がいます。

でもこれは言い換えると、「私は法律を無視して、強引なセールスをしています」と自白しているようなものです。

本人が特商法という法律の存在すら知らないケース、あるいは「オンラインだからバレない」と甘く見ているケース。そのどちらかです。

これを書くと、一部の界隈から叩かれるかもしれません。

でも——

消費者を守る行動をとるビジネスパーソンになりたいですか。
それとも、違反行為を擁護するビジネスパーソンになりたいですか。

フォロワーが多い人が言っているから、実績がある人が教えているから。
それは「合法である」とは、何の関係もありません。

自分が何者でありたいかを決めるのは、あなた自身です。

実際に、ネットで検索してみてください。

「Zoom 勧誘 特商法」
「無料相談 高額講座 電話勧誘販売」
「アポイントメントセールス 違法」
「SNS 副業 勧誘 トラブル」

こういうワードで調べれば、国民生活センター・自治体・弁護士サイトが、大量に注意喚起しているのが分かります。

検挙事例・行政処分・弁護士の注意喚起が、山ほど出てきます。

誰かに教わった手法でも、責任はあなた自身にある

善意でやっていても、法律は適用されます。

「有名な人が言っていたから」
「みんなやっているから」

「そっかぁ、じゃあしょうがないね!大目に見るね!」なんてことは、起こりません。

免責理由になるわけが、ないんです。

意図ではなく、行為の内容と効果で判断されます。
意図が影響するのは、判決後のペナルティの重さくらいです。

今回、特に強調したいのは「教える側」の問題です。

オフライン営業のプロが、法律を確認せずに、Zoom向けのセールス手法を教えている。

受け取った側は「プロが言っているから正しい」と信じて、そのまま実践する。

でも——被害が出たとき、責任を取るのは教わった側です。

誰かに教わった手法であっても、法律上の責任は、あなた自身にあります。

自分を守るためではなく、顧客を守るために。

今日の内容を一度、自分のビジネスに照らし合わせて、確認してみてください。

僕は常に「自分にミスや違反がないか」、ドキドキしています。

だって、ビジネスを続けたいですもん。

※本コラムは情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。個別の判断については、専門家(弁護士等)にご確認ください。

P.S.
こうしたSNSビジネスの“交通ルール”の話は、メルマガ『3-2-1ラボ』でも触れています。気が向いたら、覗いてみてください。

▶ メルマガ・無料講座の詳細・ご登録はこちら(3-2-1ラボ)

とーる|猫好きの行動経済アナリスト

Recommended

おすすめコラム

コラム#103

AIに「とーるって知ってる?」と聞いたら、Instagramが出てこなかった。

コラム#89

SNSマーケに「正解」はない。あるのは「あなたがどっちのタイプか」だけ

Illustration
コラム#73

【前編】フォロワーを増やすな。

Illustration
コラム#71

誰もが断念する『動画講座』に、あなたの勝機が眠っている理由

コラム#65

「それってあなたの感想ですよね」