コラム#79マーケティング

「母数」か「率」か、SNS売り上げの2つの構造

どーもとーるです。

SNSで売り上げを作る方法を聞かれたとき、9割の人が同じ答えを返します。
「フォロワーを増やす」

間違ってはない。でも、それだけじゃない。

実は売り上げを作るための変数は2つあって、多くの人が片方しか見ていない。
今日はその話をします。

売り上げ = 母数 × 率

シンプルな式から始めます。
SNSで生まれる売り上げは、2つの変数で決まります。

母数:あなたの発信を見ている人の数。フォロワー数、インプレッション、リーチ数。
:見た人のうち、実際に買う人の割合。コンバージョンレート。

売り上げ = 母数 × 率

だから売り上げを上げる方法は、どちらかを上げること、あるいは両方を上げること、です。

日本のSNS起業界で圧倒的に多いのは「母数を上げる」戦略です。
フォロワーを増やす、リールを回す、バズを狙う——全部これ。

一方で、「率を上げる」戦略はほとんど語られない

でも実際には、少ないフォロワーで大きな売り上げを作っている人のほとんどが、この「率を上げる」設計をしています。

2つの戦略、どちらを選ぶか

両者の特徴を整理します。

母数を増やす戦略
フォロワー数・リーチ数の最大化を狙う。万人に刺さるコンテンツが必要。直感的で直接的、「すぐ解決できる」「手取り早く」な内容が向いている。スケールしやすいが、関係が薄くなりやすい。

率を上げる戦略
少人数でも濃いターゲットに刺さる。本質的・専門的な内容が向いている。フォロワーが少なくても成立する。深い関係になりやすく、リピート・紹介が生まれやすい。

どちらが正解かじゃなくて、どちらを目指すかで、発信の内容が全然変わるという話です。

「本質を発信したら誰にも刺さらなかった」の正体

ここから本題です。

専門的な知識を深めると、「本質を発信したい」という欲求が出てきます。
わかります。僕もそうでした。

行動経済学を勉強して、SNSの裏にある心理構造が見えてきた。これを伝えたい、と。

でも現実はこうでした。

本質的な内容ほど、刺さらない。
少なくとも、最初は。

なぜか。

行動経済学に「知識の呪い(Curse of Knowledge)」という概念があります。
Chip Heath & Dan Heathの研究で有名になったこの概念は、簡単に言うとこうです。

一度知識を得てしまうと、「知らない状態がどんなものか」を想像できなくなる。

あなたが「本質だ」と感じる内容は、あなたの知識レベルから見た本質です。
でもあなたのターゲット、特にSNS起業初心者は、まだその手前にいる。

「行動経済学的にSNSの設計を見直すべき」と言われても、まだ「何を投稿すればフォロワーが増えるか」を知りたい段階の人には、刺さるどころか意味すらわからない。

ターゲットが今求めているのは「今すぐ解決できること」

これは冷たい話でも何でもなくて、人間の認知の構造です。

ほとんどの人が最初に求めているのは「本質」じゃなくて「今すぐ解決できること」です。

痛みがある。その痛みをすぐに取り除きたい。

「フォロワーが増えない」という痛みに対して「SNSビジネスの本質はフォロワーじゃなくて率だ」と答えても、ピンとこない。
「フォロワーが増えない原因トップ5つ」の方が刺さる。

これはターゲットが浅いのでもレベルが低いのでもない。認知の段階が違うだけです。

「知識の呪い」を自覚しないまま発信すると、「なんで刺さらないんだろう」と悩み続けることになる。

だからこそ、戦略で使い分ける

整理します。

母数を増やしたいなら:
直感的で直接的な発信をする。「すぐ解決できる」「手取り早い」内容。ターゲットの今の痛みに直接答える。初心者が「これが知りたかった!」と思うコンテンツ。

少数精鋭で率を上げたいなら:
本質的・専門的な発信をする。「なぜそうなるのか」の構造まで語る。すぐに答えが出ないけど、深く考えさせる内容。知識があり問題意識が高い人が残る。

中途半端に「本質的だけど初心者にも刺さる」を狙うのが一番難しく、ほとんどの場合どちらにも刺さらない。

「母数か率か」。まずここを決めることが、発信設計の出発点です。

僕が「率」を選んだ理由

最後に、僕自身の話を少し。

僕は「率を上げる」戦略を取っています。

フォロワー数は少ない。でも売り上げは7桁以上、顧客は20名以上、インスタ経由で生まれています。

本質的な発信を続けて、「この人の言ってることが刺さる」という人だけが残る設計にしている。

それが全員に刺さらなくていい。刺さる人だけに深く刺さればいい。

母数を追わない分、一人一人との関係が濃くなる。紹介も生まれる。リピートも起きる。

これがAnti-Audience Buildingの核心でもあります。

あなたはどちらを選びますか?

とーる|行動経済アナリスト