コラム#80マーケティング

「0.1%」を上げてみる

どーもとーるです!

SNSで発信している人に「売上を増やすにはどうすればいいですか?」と聞くと、9割の人が同じ答えを返します。

「フォロワーを増やす」

間違いじゃないです。

でも今回は、その"当たり前"を、一度立ち止まって疑ってみたいと思います。

まず、あるある話から始めさせてください。

  • 毎日がんばって投稿しているのに、フォロワーの数字がほとんど動かない。たまに伸びても、しばらくするとまた落ちる。
  • リールがたまたま伸びて、フォロワーが一気に増えた。でも、増えたのは数字だけで、売上はピクリとも動かなかった。
  • 「フォロワーが1万人いったら世界が変わる」と思っていた。いざ到達してみたら、思っていたほど何も変わらなかった。
  • 周りの人が派手に伸びていくのを見て、「自分ももっと投稿しなきゃ」と焦る。でも、増やした投稿は反応が薄く、疲れだけが残っていく。

ひとつでも「あー、それ」と思ったなら、この先読んでみるといいかもです。

なぜ、こんなことが起きるのか。

少しだけ、いまのSNSの"事情"を整理していきましょう。

数年前まで、SNSは「とにかく発信量を増やせば、フォロワーも売上もついてくる」場所でした。

母数を増やせば、それなりに結果が出た時代です。

でも、ここ数年で前提が変わりました。

ひとつは、純粋に発信者が増えすぎたこと。

タイムラインは情報で飽和していて、あなたの投稿が誰かの目に留まる時間は、年々短くなっています。

もうひとつは、見ている側がうんと賢くなったこと。

「あ、これは宣伝だな」「これは集客の入口だな」と、一発で見抜かれる時代になりました。

昔は効いた"ちょっとした煽り"が、今では逆効果になることすらあります。

そしてアルゴリズム。

バズは以前より起きやすくなった一方で、バズで集まった人は驚くほど定着しません。

数字は跳ねるのに、関係は深まらない。

つまり「母数を増やせば売上も増える」という、かつての方程式が、少しずつ効かなくなってきているんです。

それなのに、いまだに「フォロワーを増やそう」という一本道だけを、必死に走り続けている。

だから、がんばっているのに報われない感覚が生まれてしまう。

ここで、考えてほしいことがあります。

SNSの売上は、しんぷるに言うと、この式で決まります。

売上 = 母数(見ている人の数)× 率(買う人の割合)

母数は、あなたの発信を見ている人の数。フォロワー、リーチ、インプレッション。

率は、見た人のうち、実際に買ってくれる人の割合。コンバージョン率です。

ほとんどの人が、左側の「母数」だけを見ています。

でも、売上を決めるもう一つの変数である「率」があります。

そして、この「率」のほうは、なぜかほとんど誰も語りません。

今回は、その語られないほうの「率」を、それもとんでもなく小さな単位で見ていきます。

成約率を上げよう この言葉が、なぜか人を固まらせる

「成約率を上げましょう」と言われると、多くの人はこう感じます。

「成約率を5%上げる」➔ものすごく難しそう。

「10%上げる」➔ほぼ不可能に思える。

「成約率を倍にする」➔それは神業。

だから、「率を上げる」というレバーを最初から論外にしてしまう。

そして、「フォロワーを増やす」という、分かりやすいけど大変なレバーに流れていく。

ですが、「5%」とか「倍」とか、そんな大きな数字で考えるから、動けなくなるんです。

“0.1%”を上げる努力

「成約率を5%上げろ」は難しい。

でも「0.1%上げろ」なら、どうだろうか。

ボタンの文言を一つ変える。価格の見せ方を見直す。保証の一文を追加する。お客様の声を1つ足す。

このくらいなら、誰でも、今日でもやれるはずです。

実はこれ、行動経済学的にも理にかなっています。

人は、ゴールが大きすぎると「どうせ無理」と感じて手が止まる。

でも、「これならやれそう」と思えるサイズまで刻むと、すっと動き出せる。

「成約率を上げる」を、「0.1%上げる」まで小さく刻む。

それだけで、「難しい」が「やれそう」に変わります。

でも、ここで誰もが思うはずです。

「0.1%なんて小さすぎて、意味ないのでは?」

とんでもない。では実際に、計算してみましょう。

実例:0.1%で、いくら変わるのか

わかりやすい数字で設定します。

あなたの商品ページを、月に500人が見ているとします。

商品単価は3万円。今の成約率は2.0%。

つまり、500人 × 2.0% = 10人が購入。月商は30万円です。

ここから、売上を上げる方法を2つ比べます。

●パターンA:フォロワーを増やす

3か月かけて発信頻度を倍にし、フォロワーを2倍に。

商品ページの閲覧者も2倍の1,000人に。

→ 1,000人 × 2.0% = 20人購入。月商60万円(+30万円)。

労力:毎日投稿を3か月、体力消耗大、やめたら戻るリスクあり。

●パターンB:成約率を0.1%上げる

商品ページの見出しを1行変える、保証文を追加する、ボタンの文言を変える。

その結果、成約率が2.0%→2.1%(たった0.1%)に。

→ 500人 × 2.1% = 10.5人購入。月商31.5万円(+1.5万円)。

労力:数時間で完了、体力消耗ほぼゼロ。

一見、パターンAの圧勝に見えます。

+30万円 vs +1.5万円。比べるまでもない、と。

でも、0.1%の本当の威力は、ここからです。

「積み重なる」こと

フォロワーを2倍にするのは、そう何度もできません。

体力も時間も限界がある。

でも、「0.1%の改善」は違います。

これは"1回で終わらない"。

見出し、保証文、ボタン、事例、価格表記・・・月に2、3か所は見直せる内容です。

仮に、0.1%を月に1回ずつ、淡々と積み重ねたらどうなるか。

同じ「閲覧者500人」のままで計算します。

  • 0か月目:成約率2.0% → 10人 → 月商30万円
  • 3か月目:成約率2.3% → 11.5人 → 月商34.5万円
  • 6か月目:成約率2.6% → 13人 → 月商39万円
  • 12か月目:成約率3.2% → 16人 → 月商48万円

1年で、月商が"1.6倍"になりました。

しかも、フォロワーは1人も増えていません。体力もほぼ使っていない。

さらに重要なのは、この改善が、永続的に効くことです。

一度上げた成約率は、下がりません。

フォロワーは発信を止めれば伸びなくなるけど、0.1%の改善は、やった瞬間からずっと資産になります。複利で積み上がっていく。

規模が大きいほど、0.1%は効く

さっきは閲覧者500人で計算しました。

もし、もう少し規模のある事業だったらどうなるか。

仮に、商品ページの閲覧者が月に1万人いる事業を考えます。

成約率を0.1%上げると、たったの小数点ひとつで、月に+10人の購入。

単価3万円なら月+30万円、年間で+360万円です。

フォロワーを1万人増やすのは、何か月もかかる大仕事。

でも「成約率を0.1%」は、数時間の見直しで同じインパクトを出せることがある。

しかも、フォロワー増やしにはリバウンドリスクがあるが、成約率の改善は下がらない。

「フォロワーを1万人増やす」より「成約率を0.1%上げる」ほうが、はるかに小さい労力で同じ結果を出せることがある。

これが、見落とされがちな事実です。

この「0.1%」は見落とされるのか

これだけ効くのに、なぜ多くの人が0.1%をスルーしてしまうのか。

理由は4つあります。

ひとつめ、「成約率を上げる」が漠然としていて、何をすればいいか分からない。

ふたつめ、「0.1%」という単位で考えていないので、目標が遠く見える。

みっつめ、フォロワーを増やすような「外向きの労力」は成果が目に見えやすい。

よっつめ、オファーを磨くような「内向きの労力」は地味で、達成感が弱い。

つまり「0.1%」は、効かないから見落とされるのではなく、地味だから見落とされるんです。ここに気づけるかどうかが、大きな分かれ道です。

「0.1%」は最善手になる

ここで、少し視野を広げてみます。

SNSマーケには、大きく分けて2つの型があります。

Brunson 派(話すと伝わる型)と、Hormozi 派(見せて惹きつける型)。

※別機会に詳しく説明しようかな

前者は1対1で深く伝えるのが得意なタイプ、後者はコンテンツで広く惹きつけるのが得意なタイプです。

じゃあ、「0.1%」はどちらの型向けの話なのか。

答えは、どちらの型でも、最善手になります。

ただ、「0.1%が隠れている場所」が違うだけなんです。

●Brunson型(話すと伝わる人)の場合

あなたの0.1%は、「会話」に隠れています。

個別相談の最初の一言。クロージングの順番。料金を伝えるタイミング。

「話し方の手順をひとつ変える」だけで、成約率は0.1%動きます。

●Hormozi型(見せて惹きつける人)の場合

実は Hormozi の核、"価値方程式(ビュースタッキング)"そのものが、「オファーを磨いて率を上げる」思想です。

あなたの0.1%は、「オファーとファネル」に隠れています。

LPの見出し。価格の見せ方。LINE誘導の一文。

つまり、こういうことです。

「母数を増やす」一辺倒は、どちらの型にとっても最善ではない。

型に応じた「0.1%の置き場」を見つけることが、両系統に共通する最善手なんです。

だから、考えてみてください。

あなたが Brunson 型なら、今のやりとりのどこに0.1%が眠っているか。

Hormozi 型なら、今のファネルのどこが0.1%分だけ粗いか。

「フォロワーを増やしたい」と思ったとき、その前に、この3つを自分に聞いてみてください。

1.今の成約率は、何%か。

2.それが0.1%上がったら、売上はいくら増えるか。

3.「フォロワーを増やす労力」と「0.1%上げる労力」、どちらが小さいか。

この3つを答えるだけで、「今、何に手をつけるべきか」がクリアになります。

成約率を0.1%。小さすぎて、誰でも今日から始められる。でも、積み重ねればフォロワー1万人に勝つこともある。

あなたの0.1%は、今、どこに隠れていますか?

とーる|行動経済アナリスト