コラム#78マーケティング

情報過多の時代に、
正しく悩める人だけが結果を出す

どーもとーるです。

突然ですが、こんな経験ありませんか?

夏前に「なんかエアコン臭い、汚いかも」と感じた。
で、スマホを開いて検索した。

「エアコン 汚い 対処法」

検索結果には、プロの業者の記事がずらっと並んでいる。
気づいたらあなたは、クリーニング業者の料金を比べている。

——でも、ここで一度立ち止まってほしいんです。

あなたの本来の目的って、なんでしたっけ?

「エアコンをきれいにしたい」というよりも、
「エアコンの臭いをなんとかしたい」だったはず。

それがいつの間にか、
「エアコンクリーニングをすること」に置き換わっている。

これを行動経済学では、
「目的のすり替わり(Goal Substitution)」と呼びます。

そしてSNS起業家の失敗の多くは、
まさにこれが原因です。

「悩み」の構造が、時代とともに変わってしまった

少し、時代の話をします。

情報も商品も少なかった時代は、
悩みとニーズがダイレクトにつながっていました。

「エアコンが臭い、どうしよう」

解決策の選択肢が少ないから、
自分で考えて動くしかなかった。
ニーズがそのまま「顕在」の状態で残っていた。

でも今は違います。

ネットで検索すれば、
悩みに対する解決策(ウォンツ)が
一瞬で手に入る時代です。

「エアコンが臭い」→「クリーニング業者に頼む」
ここまでは、まだわかる。

問題は、その次の段階です。

その「解決策(ウォンツ)」が
世の中に広まって、多くの人に認知されると——

いつの間にか、ウォンツがニーズに変わってしまう。

「エアコンが臭い」という本来のニーズは潜在化して、
「エアコンクリーニングをしたい」というウォンツが
顕在ニーズとして表に出てくる。

SNSビジネスに置き換えると、こうなります。

「売上が欲しい」(本来のニーズ)

「SNSで集客すればいい」という解決策を知る

「SNSで集客する」という概念が世に浸透する

「売上が欲しいからSNSで集客する」が常識化

気づいたら「SNSで集客する」がニーズに変わっている

本来は手段だったものが、
いつの間にか目的になってしまう。

そして多くのSNS起業家が
「SNSで集客できていない自分」を悩み始める。

でも本当に悩むべきは
「売上が上がっていない」ことだったはずです。

これが、情報過多の時代に起きている
「ニーズとウォンツの逆転」です。

なぜ情報過多の時代に「本当の目的」を見失うのか

原因はシンプルです。

最初に見た解決策が、正しい解決策に見えてしまうから。

エアコンの例なら、本当は:

  • フィルター掃除だけで解決できたかもしれない
  • 湿度設定が問題だったかもしれない
  • そもそも買い替え時だったかもしれない

でも検索して最初に見えたのが「クリーニング業者」だったから、
その選択肢しか見えなくなった。

行動経済学の言葉で言えば、これは
「フレーミング効果」と「利用可能性ヒューリスティック」が
同時に起きている状態です。

難しい話じゃないです。要は——
「最初に見せられた枠組みで考えてしまう」
「目についたものを正しいと思いこむ」
というだけのこと。

で、これがSNS起業家の世界で起きると、どうなると思いますか?

SNS起業家に起きている「目的のすり替わり」の実例

ちょっと具体的な話をします。
以前、コンサルで関わったある方のケースです。

その方は「売上が伸び悩んでいる」という相談で来てくれたのですが、
最初の10分の会話で、ほぼ原因がわかりました。

本来の悩みは「売上が伸び悩んでいる」。
でも話の内容はずっと、
「リールのクオリティを上げるにはどうすれば?」

本人の中では完全に、
「リールを改善すれば売上が上がる」という方程式が出来上がっていた。
だから、リール制作に毎月かなりの時間とお金をかけていた。

でも実際に話を掘り下げてみると、
問題はリールじゃなかった。

その方には既に十分な「温かいフォロワー」がいて、
問題は「商品が明確じゃない」ことだった。

リールをいくら磨いても、
買う理由が見えない商品では売れない。

ここで起きていたのが、まさに目的のすり替わりです。
「売上を上げたい(本来の目的)」が、
「リールを改善すること(手段)」にすり替わっていた。

そしてこれは、珍しいケースじゃありません。
ほぼ全員がやっています。

「正しく悩む」という技術

じゃあどうすればいいか、という話です。

まず、手段から逆算するのをやめることです。
「リールを作るべきか」じゃなくて、
「自分のビジネスの課題はどこにあるか」から先に考える。

  • 認知がないのか
  • 信頼が築けていないのか
  • 商品設計の問題なのか
  • 導線が機能していないのか

ここを特定しないまま「リールを作る」をやっても、
全部無駄になります。

そして具体的には、こういう手順を試してみてください。

STEP 1「本当に解決したいことは何か」を先に言語化する

検索する前に、紙かメモアプリに一行書く。
「私が本当に解決したいのは○○だ」と。

これだけで、情報を見る前に自分の「問い」が固定されます。
固定されると、見えてくるものが全然変わります。

STEP 2「手段と目的を分けて書き出す」

今やろうとしていることが「目的」か「手段」かを確認する。

リールを作る → 手段
フォロワーを増やす → 手段
毎日投稿する → 手段

では本当の目的は?
ここを書き出すだけで、自分の思考が整理されます。

STEP 3「別の手段で解決できないか」を問う

その目的を達成するために、他にどんな方法があるか。
リール以外の方法は? フォロワー増加以外の方法は?

これを考えることで、
固定化された選択肢から抜け出せます。

ビジネスの失敗は、「悩み方」から始まっている

ここまで読んでくれた人に、正直に言います。

SNSビジネスで行き詰まっている人の多くは、
戦略が間違っているんじゃなくて、

悩みの設定が間違っています。

正しい問いを立てれば、正しい答えが見える。
間違った問いを立てると、正しい答えを出しても意味がない。

「フォロワーを増やすにはどうすればいいか」という問いを立てている限り、
フォロワーを増やす答えしか出てこない。

「自分のビジネスで、次の1人のお客さんを獲得するには何が必要か」
この問いを立てると、全然違う答えが出てくることが多い。

エアコンの臭いが湿度設定の問題なのに、クリーニングをしても解決しない。
それと同じことが、ビジネスでも起きています。

あなたの本当の目的は何ですか?
その問いを、もう一度ゆっくり考えてみてください。

とーる|行動経済アナリスト