ニッチすぎるコンセプトは、だいたい短命。

どーも、とーるです。
最近、飲食店を見ていて、ずっと思っていたことがあります。
「なんでニッチなコンセプトのお店って、短命なんだろう?」
例えば、
「世界初!フィンランドコーヒー専門店」
「〇〇産の唐辛子だけを使った激辛ラーメン専門店」
「昭和54年製のレコードだけが流れる喫茶店」
……いや、気になりますよ?
僕も行きます(笑)
SNSでも、「こんなお店初めて見た!」「面白そう!」「一回行ってみたい!」そんな投稿が、どんどん流れてきます。
そしてオープン直後は行列。テレビ取材。インスタで拡散。
「大成功じゃん!」と思うわけです。
……でも半年後。
「あれ?あのお店どこ行った?」
なんですよね。
これ、飲食店だけじゃありません。SNSでもよく見ませんか?
「○○専門家です!」「○○だけ発信します!」と始まって、半年後には、プロフィール変更・肩書き変更・発信内容変更・アイコン変更。
最終的には……アカウントごと転生。
「あ、この人また生まれ変わった(笑)」みたいな。
もちろん本人が悪いわけじゃありません。飽きっぽいわけでもない。
実は、多くの場合、最初のコンセプト設計で詰んでいるだけなんです。
今日は、そんなお話です。
「コンセプトを絞れ」は正しい。でも、半分だけ
マーケティングを勉強すると、必ずと言っていいほど聞く言葉があります。
「コンセプトを絞りましょう。」
これ自体は間違っていません。むしろ正しいです。
でも、この言葉だけを真に受けると、真面目な人ほど落とし穴にはまります。
なぜなら、みんな「絞る」という言葉を、“どんどん狭くすること”だと思ってしまうから。
すると、「もっと専門的に!」「もっとニッチに!」「もっと他にないものに!」となっていきます。
結果……自分で自分の首を絞め始めます。
今日はその理由を説明するために、チャンクという考え方を紹介します。
チャンクという考え方
チャンクというのは、簡単に言うと「情報の大きさ」です。
例えば、こんな感じ。
飲み物
↓
コーヒー
↓
エスプレッソ
↓
フィンランド式エスプレッソ
↓
〇〇地方で飲まれているフィンランド式エスプレッソ
上に行くほど広い概念。下に行くほど専門的になります。
専門用語では、上へ行くことをチャンクアップ、下へ行くことをチャンクダウンと言います。
そして、横へずれることをチャンクラテラルと言います。
例えば、
コーヒー
↓
紅茶
↓
緑茶
これは横移動なので、チャンクラテラル。
ここで大事なのは、チャンクダウンすればするほどニッチになるということ。
つまり、競合も少なくなる。専門家っぽく見える。珍しく見える。
だから最初は強いんです。
ニッチは、最初だけめちゃくちゃ強い
例えば、「コーヒー屋です。」より、「フィンランドコーヒー専門店です。」の方が覚えてもらえます。
比較される競合も少ない。「そんな店あるんだ!」となる。
しかも、人って珍しいものが好きなんですよ。
行動経済学でも希少性の原理というものがあります。
「限定」「ここだけ」「初めて」「世界唯一」——こういう言葉に弱い。
だからSNSでもシェアされます。人は「珍しいものを知っている自分」を見せたい生き物だからです。
つまり、ニッチなコンセプトは、自然とSNSとの相性も良くなります。
ここだけ見ると、「やっぱりコンセプトは絞ればいいんだ!」と思いますよね。
でも、問題はその先です。
地下室まで降りると、もう降りられない
僕はチャンクダウンって、地下室を降りていくイメージで考えています。
地上には「飲み物」
一階には「コーヒー」
地下1階には「エスプレッソ」
地下2階には「フィンランド式エスプレッソ」
地下3階には「〇〇地方のフィンランド式エスプレッソ」
……ここまで来ると、ライバルはいません。
でも、お客さんもいません(笑)
しかも、もっと問題なのは、もう下がないこと。
地下3階まで降りたら、地下4階はありません。
つまり、コンテンツを広げる余白がなくなる。
ここが一番怖いんです。
例えば「フィンランドコーヒー専門店」だったら、発信できる内容って何があるでしょう?
- フィンランドのコーヒー文化
- フィンランド式の淹れ方
- おすすめの豆
- 現地のお菓子
……だいたいこの辺です。
最初は面白い。でも半年後。「次、何を投稿しよう……。」になります。
ネタ切れです。
飽きたわけじゃありません。もう話せることがない。
これが、チャンクダウンしすぎた人が最初にぶつかる壁なんです。
でも、これって飲食店だけの話じゃないんです。
SNSビジネスも、まったく同じ。むしろSNSの方が、この罠にはまりやすいかもしれません。
例えば、「20代女性のための、元銀行員が教える積立NISA専門アカウント」。
これ、一見すごく良さそうです。ターゲットも明確。専門性もある。差別化もできている。
マーケティングを勉強した人なら、「いいコンセプトですね!」って言われそうです。
でも、半年後どうなるでしょう。
最初は、
- 積立NISAとは?
- 始め方
- おすすめ証券会社
- 新NISA制度
- 積立商品の比較
こんな感じで投稿できます。
でも……ある程度発信すると、「あれ?」となります。もう話すことがない。
「今度は投資信託の話をしようかな。」「iDeCoの話もしようかな。」「家計管理も大事だよね。」
と思って発信すると、今度はフォロワーから「なんかコンセプト変わった?」と言われる。
本人はブレたつもりなんてないんです。
でも最初に“積立NISA専門”までチャンクダウンしてしまったので、そこから少し広げただけでも「違う話をしている」ように見えてしまう。
だから結局、「もうこのアカウントでは限界かな。」となって、また新しいアカウントを作る。
……これ、めちゃくちゃ多いです(笑)
だから僕は、プロフィールを見て「この人、三回くらい転生してるな。」って、なんとなく分かります(笑)
もちろん本人は一生懸命です。でも、転生の原因は努力不足じゃありません。最初の設計なんです。
コンセプトは「今」じゃなく「未来」で決める
僕はコンセプトを考えるとき、必ず自分に質問することがあります。
それは、「このテーマで50本コラム書ける?」です。
5本しか思いつかない。危険信号。
10本。まだちょっと少ない。
50本。いい感じ。
100本。かなり長く戦えます。
これ、コラムだけじゃありません。YouTubeも、Instagramも、Kindleも、Udemyも、オンライン講座も、全部同じ。
つまり、チャンクダウンできる先がどれだけ残っているか。これが重要なんです。
例えば、「北欧ライフスタイルカフェ」というコンセプトだったらどうでしょう。
チャンクダウン先として、
- フィンランドコーヒー
- 北欧紅茶
- 北欧スイーツ
- 北欧雑貨
- 北欧インテリア
- 北欧建築
- サウナ
- 読書空間
- ワークショップ
- 北欧旅行
いくらでもあります。
しかも、どれを発信しても「コンセプト変わった。」とは思われません。
全部、“北欧ライフスタイル”という大きなコンセプトの中だからです。
商品設計もまったく同じ
僕は商品設計でも、これをかなり意識しています。
例えば、「Instagramのリール講座」だけ作る。これだと、リールの話が終わったら、次の商品を作りにくい。
でも、「SNSを使った集客」というチャンクだったら、そこから
- リール
- ストーリーズ
- プロフィール設計
- LINE導線
- ファネル
- 商品設計
- DRM
- Kindle
- Udemy
- オンライン講座
全部作れます。
しかも、どの商品も同じ世界観。同じブランド。同じコンセプト。
だから、「また違うこと始めた。」じゃなく、「なるほど、この人の次の商品ね。」になる。
これって、めちゃくちゃ大きいんです。
「絞る」と「狭める」は違う
ここ、一番勘違いされます。
コンセプトを絞る。これは正しい。
でも、コンセプトを狭める。これは違います。
例えば、大きな木があるとします。幹があります。そこから枝が何本も伸びています。
僕が考えるコンセプトって、この幹なんです。
幹は一本。でも枝は何本もある。
だから、商品も増やせる。発信も増やせる。講座も増やせる。
逆に、最初から枝一本をコンセプトにすると、もう伸びません。枝から枝は生えませんからね(笑)
だから、最初に考えるべきなのは、「一番細い枝」じゃなく、「何本も枝が伸びる幹はどこだろう?」ということなんです。
最後に
「コンセプトを絞れ。」これは間違っていません。
でも、その言葉だけを信じると、真面目な人ほど、どんどん地下へ降りていきます。
ライバルは減る。専門性も出る。最初は売れる。
でも、地下まで降りきった瞬間、もう下へは行けません。
ネタも尽きる。商品も増えない。発信も苦しくなる。
そして、「コンセプト変えます!」「新アカウント作ります!」となる。
だから僕は、コンセプトを考えるとき、いつもこう考えています。
「このコンセプトから、あと何個チャンクダウンできる?」
そして、「ここからあと何本コラムが書ける?」
もし3〜5個しか思いつかないなら、もう一段だけチャンクを上げてみてください。
そうすると、商品も、コンテンツも、発信も、何年も続けられる“余白”が生まれます。
コンセプトは、今売れるために作るものではありません。
5年後も、10年後も、商品やサービスを増やし続けられるために設計するものです。
その視点を持つだけで、あなたのブランドは、一気に長生きします。
「ニッチに攻める」の前に、「どのチャンクで攻めるか」を決める。
それが、長続きするビジネス設計の入口です。
なんつて。
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P.S.
こうした「広い幹でコンセプトを設計する」話は、メルマガ『3-2-1ラボ』でも深掘りしています。気が向いたら、覗いてみてください。
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とーる|猫好きの行動経済アナリスト



