コラム#97マーケティング

ニッチすぎるコンセプトは、だいたい短命。

ニッチすぎるコンセプトは、だいたい短命。

どーも、とーるです。

最近、飲食店を見ていて、ずっと思っていたことがあります。

「なんでニッチなコンセプトのお店って、短命なんだろう?」

例えば、

「世界初!フィンランドコーヒー専門店」
「〇〇産の唐辛子だけを使った激辛ラーメン専門店」
「昭和54年製のレコードだけが流れる喫茶店」

……いや、気になりますよ?
僕も行きます(笑)

SNSでも、「こんなお店初めて見た!」「面白そう!」「一回行ってみたい!」そんな投稿が、どんどん流れてきます。

そしてオープン直後は行列。テレビ取材。インスタで拡散。

「大成功じゃん!」と思うわけです。

……でも半年後。

「あれ?あのお店どこ行った?」

なんですよね。

これ、飲食店だけじゃありません。SNSでもよく見ませんか?

「○○専門家です!」「○○だけ発信します!」と始まって、半年後には、プロフィール変更・肩書き変更・発信内容変更・アイコン変更。

最終的には……アカウントごと転生。

「あ、この人また生まれ変わった(笑)」みたいな。

もちろん本人が悪いわけじゃありません。飽きっぽいわけでもない。

実は、多くの場合、最初のコンセプト設計で詰んでいるだけなんです。

今日は、そんなお話です。

「コンセプトを絞れ」は正しい。でも、半分だけ

マーケティングを勉強すると、必ずと言っていいほど聞く言葉があります。

「コンセプトを絞りましょう。」

これ自体は間違っていません。むしろ正しいです。

でも、この言葉だけを真に受けると、真面目な人ほど落とし穴にはまります。

なぜなら、みんな「絞る」という言葉を、“どんどん狭くすること”だと思ってしまうから。

すると、「もっと専門的に!」「もっとニッチに!」「もっと他にないものに!」となっていきます。

結果……自分で自分の首を絞め始めます。

今日はその理由を説明するために、チャンクという考え方を紹介します。

チャンクという考え方

チャンクというのは、簡単に言うと「情報の大きさ」です。

例えば、こんな感じ。

飲み物

コーヒー

エスプレッソ

フィンランド式エスプレッソ

〇〇地方で飲まれているフィンランド式エスプレッソ

上に行くほど広い概念。下に行くほど専門的になります。

専門用語では、上へ行くことをチャンクアップ、下へ行くことをチャンクダウンと言います。

そして、横へずれることをチャンクラテラルと言います。

例えば、

コーヒー

紅茶

緑茶

これは横移動なので、チャンクラテラル。

ここで大事なのは、チャンクダウンすればするほどニッチになるということ。

つまり、競合も少なくなる。専門家っぽく見える。珍しく見える。

だから最初は強いんです。

ニッチは、最初だけめちゃくちゃ強い

例えば、「コーヒー屋です。」より、「フィンランドコーヒー専門店です。」の方が覚えてもらえます。

比較される競合も少ない。「そんな店あるんだ!」となる。

しかも、人って珍しいものが好きなんですよ。

行動経済学でも希少性の原理というものがあります。

「限定」「ここだけ」「初めて」「世界唯一」——こういう言葉に弱い。

だからSNSでもシェアされます。人は「珍しいものを知っている自分」を見せたい生き物だからです。

つまり、ニッチなコンセプトは、自然とSNSとの相性も良くなります。

ここだけ見ると、「やっぱりコンセプトは絞ればいいんだ!」と思いますよね。

でも、問題はその先です。

地下室まで降りると、もう降りられない

僕はチャンクダウンって、地下室を降りていくイメージで考えています。

地上には「飲み物」
一階には「コーヒー」
地下1階には「エスプレッソ」
地下2階には「フィンランド式エスプレッソ」
地下3階には「〇〇地方のフィンランド式エスプレッソ」

……ここまで来ると、ライバルはいません。

でも、お客さんもいません(笑)

しかも、もっと問題なのは、もう下がないこと。

地下3階まで降りたら、地下4階はありません。

つまり、コンテンツを広げる余白がなくなる。

ここが一番怖いんです。

例えば「フィンランドコーヒー専門店」だったら、発信できる内容って何があるでしょう?

  • フィンランドのコーヒー文化
  • フィンランド式の淹れ方
  • おすすめの豆
  • 現地のお菓子

……だいたいこの辺です。

最初は面白い。でも半年後。「次、何を投稿しよう……。」になります。

ネタ切れです。

飽きたわけじゃありません。もう話せることがない。

これが、チャンクダウンしすぎた人が最初にぶつかる壁なんです。

でも、これって飲食店だけの話じゃないんです。

SNSビジネスも、まったく同じ。むしろSNSの方が、この罠にはまりやすいかもしれません。

例えば、「20代女性のための、元銀行員が教える積立NISA専門アカウント」。

これ、一見すごく良さそうです。ターゲットも明確。専門性もある。差別化もできている。

マーケティングを勉強した人なら、「いいコンセプトですね!」って言われそうです。

でも、半年後どうなるでしょう。

最初は、

  • 積立NISAとは?
  • 始め方
  • おすすめ証券会社
  • 新NISA制度
  • 積立商品の比較

こんな感じで投稿できます。

でも……ある程度発信すると、「あれ?」となります。もう話すことがない。

「今度は投資信託の話をしようかな。」「iDeCoの話もしようかな。」「家計管理も大事だよね。」

と思って発信すると、今度はフォロワーから「なんかコンセプト変わった?」と言われる。

本人はブレたつもりなんてないんです。

でも最初に“積立NISA専門”までチャンクダウンしてしまったので、そこから少し広げただけでも「違う話をしている」ように見えてしまう。

だから結局、「もうこのアカウントでは限界かな。」となって、また新しいアカウントを作る。

……これ、めちゃくちゃ多いです(笑)

だから僕は、プロフィールを見て「この人、三回くらい転生してるな。」って、なんとなく分かります(笑)

もちろん本人は一生懸命です。でも、転生の原因は努力不足じゃありません。最初の設計なんです。

コンセプトは「今」じゃなく「未来」で決める

僕はコンセプトを考えるとき、必ず自分に質問することがあります。

それは、「このテーマで50本コラム書ける?」です。

5本しか思いつかない。危険信号。
10本。まだちょっと少ない。
50本。いい感じ。
100本。かなり長く戦えます。

これ、コラムだけじゃありません。YouTubeも、Instagramも、Kindleも、Udemyも、オンライン講座も、全部同じ。

つまり、チャンクダウンできる先がどれだけ残っているか。これが重要なんです。

例えば、「北欧ライフスタイルカフェ」というコンセプトだったらどうでしょう。

チャンクダウン先として、

  • フィンランドコーヒー
  • 北欧紅茶
  • 北欧スイーツ
  • 北欧雑貨
  • 北欧インテリア
  • 北欧建築
  • サウナ
  • 読書空間
  • ワークショップ
  • 北欧旅行

いくらでもあります。

しかも、どれを発信しても「コンセプト変わった。」とは思われません。

全部、“北欧ライフスタイル”という大きなコンセプトの中だからです。

商品設計もまったく同じ

僕は商品設計でも、これをかなり意識しています。

例えば、「Instagramのリール講座」だけ作る。これだと、リールの話が終わったら、次の商品を作りにくい。

でも、「SNSを使った集客」というチャンクだったら、そこから

  • リール
  • ストーリーズ
  • プロフィール設計
  • LINE導線
  • ファネル
  • 商品設計
  • DRM
  • Kindle
  • Udemy
  • オンライン講座

全部作れます。

しかも、どの商品も同じ世界観。同じブランド。同じコンセプト。

だから、「また違うこと始めた。」じゃなく、「なるほど、この人の次の商品ね。」になる。

これって、めちゃくちゃ大きいんです。

「絞る」と「狭める」は違う

ここ、一番勘違いされます。

コンセプトを絞る。これは正しい。
でも、コンセプトを狭める。これは違います。

例えば、大きな木があるとします。幹があります。そこから枝が何本も伸びています。

僕が考えるコンセプトって、このなんです。

幹は一本。でも枝は何本もある。

だから、商品も増やせる。発信も増やせる。講座も増やせる。

逆に、最初から枝一本をコンセプトにすると、もう伸びません。枝から枝は生えませんからね(笑)

だから、最初に考えるべきなのは、「一番細い枝」じゃなく、「何本も枝が伸びる幹はどこだろう?」ということなんです。

最後に

「コンセプトを絞れ。」これは間違っていません。

でも、その言葉だけを信じると、真面目な人ほど、どんどん地下へ降りていきます。

ライバルは減る。専門性も出る。最初は売れる。

でも、地下まで降りきった瞬間、もう下へは行けません。

ネタも尽きる。商品も増えない。発信も苦しくなる。

そして、「コンセプト変えます!」「新アカウント作ります!」となる。

だから僕は、コンセプトを考えるとき、いつもこう考えています。

「このコンセプトから、あと何個チャンクダウンできる?」

そして、「ここからあと何本コラムが書ける?」

もし3〜5個しか思いつかないなら、もう一段だけチャンクを上げてみてください。

そうすると、商品も、コンテンツも、発信も、何年も続けられる“余白”が生まれます。

コンセプトは、今売れるために作るものではありません。

5年後も、10年後も、商品やサービスを増やし続けられるために設計するものです。

その視点を持つだけで、あなたのブランドは、一気に長生きします。

「ニッチに攻める」の前に、「どのチャンクで攻めるか」を決める。

それが、長続きするビジネス設計の入口です。

なんつて。

P.S.
こうした「広い幹でコンセプトを設計する」話は、メルマガ『3-2-1ラボ』でも深掘りしています。気が向いたら、覗いてみてください。

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とーる|猫好きの行動経済アナリスト

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